刑法各論

刑法各論シリーズ 第8回 〜財産罪〜 詐欺罪part2

こんばんわ! 今日は、詐欺罪の論点について、いくつか検討してみたいと思います。part1のほうで、条文知識の確認を行っていますので、一回前の投稿をみてみてください。


ステップ1  詐欺と窃盗の区別

詐欺:「相手に、交付させたこと」    窃盗:「相手の占有意思に反する占有移転」

この点で、詐欺と窃盗は区別できる。答案では、いつ占有移転があったのかを注意してみる。


ステップ2  処分意思の要否について、補足

詐欺罪の本質は、相手方の瑕疵ある意思表示に基づいて、財産上の利益を得る点にある。また、利益窃盗は不可罰であるので、これと区別する必要もある。そこで、処分行為には、明確な処分意思が求められる。すなわち、被疑網者は、自分が交付する物が財産上の価値や利益を有することを認識することが必要である。

*必要説で書きました。

例えば、無銭飲食事例(つまり2項詐欺にあたるかどうかが問題)において、「タバコをちょっと買ってくる」と言って、店の外に出て、そのまま逃走した場合を考える。必要説をとると、欺罔者(無銭飲食者)が得た利益(=今回は支払の免除)は、被疑網者(店員)の意思に基づいて移転する必要がある。今回の場合、「タバコをちょっと買ってくる」と言われて店の外に出した店員は、支払に戻ってくると思っており、債務免除の意思がない。よって、処分意思がなく、処分行為に向けられているとは言えず、詐欺は成立しない。  ということになる。

ちなみに、軽犯罪法などには、引っかかるとは思います。ので、詐欺、窃盗にあたらないからといって、無銭飲食しないでくださいね(笑)


ステップ3  誤振込の問題

自分の口座に誤って振り込まれたもの(誤振込)を、銀行に対して告知しないことは、詐欺罪の欺罔行為にあたるか。

この点、不作為による詐欺の場合、告知義務があるのにも関わらず、これをしないことは、取引上重要な事項を偽ることと評価でき、欺罔行為にあたる。

では、誤振込されたものを、告知する必要があると言えるだろうか。第一に、銀行との間には、継続的な取引関係にあるのだから、信義則上、誤振込であることの告知義務はあるとするべきである。また、第二に、銀行の組み戻し制度上、誤振込か否かどうかは払い戻しに応じるか決するために重要な事項である。 以上より、告知義務はある。

誤振込分をATMで引き出す行為は、銀行の管理者の意思に反する占有取得で、窃盗を構成する。

誤振込分を別の口座に送金することは、「虚偽の情報」を入力したこととなる。よって、電子計算機使用詐欺罪(246条の2)が成立する。


 

ステップ4  クレジットカード詐欺

クレジットカード詐欺とは、支払能力や支払う意思がないのに、あるふりをして、クレジット払いする行為は詐欺罪を構成するか。

欺罔行為とは、被欺罔者の処分行為に向けられたもので、重要な事項を偽って相手方に財産上の損害を与えることにある。

まず、被欺罔者である加盟店は、信販会社を通じて、立て替えを受けることが出来るので、欺罔者(お客さん)の支払能力や意思には無関心であり、重要な事項を偽っているとはいえないとも思える。

しかし、加盟店は、信販会社との間で、契約関係があるので、契約上、欺罔者が支払能力や意思がないことを知っていれば、信義則上欺罔者と取引をするべきでないと言える。

とすると、加盟店も欺罔者の支払能力や意思に関心があると言えるので、それを偽ることは重要な事項を偽ったと言える。


 

 

簡単なまとめですが、今日は以上です。次回も引き続き、詐欺罪の論点について、です。

参考文献は、前回と同じです。

関連記事

  1. 刑法各論シリーズ 第13回 〜財産罪〜 横領罪part3 業務上…
  2. 刑法各論シリーズ  第12回 〜財産罪〜 横領罪part2
  3. 刑法各論シリーズ 第4回目 〜財産に対する罪〜 窃盗罪 
  4. 刑法各論シリーズ第10回 〜財産罪〜 恐喝罪
  5. 刑法各論シリーズ 第一回目 公衆の安全に対する罪 〜騒乱罪、放火…
  6. 刑法各論シリーズ 第9回 〜財産罪〜  詐欺罪part3
  7. 刑法各論シリーズ 第6回 〜財産罪〜 強盗罪
  8. 刑法各論シリーズ 第二回目 公衆の安全に対する罪 〜騒乱罪、放火…

カテゴリー記事一覧

おすすめ記事

  1. 公判前整理手続の対象事件とは(条文)
  2. 個人でサイトを作成して広告収入を得るモデルを確立させるにはどうしたらよいか。
  3. 平成29年予備試験短答「憲法」の解答と肢別解説
  4. 新司法試験行政法の解説書・参考答案のおすすめ2017
  5. 保護中: Line@登録者限定プレゼント
  6. ブログ更新再開・・・したいの巻

刑事訴訟法おすすめ基本書 リーガルクエスト

刑法総論おすすめ基本書1 基本刑法1総論

刑法各論おすすめ基本書「刑法各論西田」

行政法おすすめ基本書「基本行政法」

民事訴訟法おすすめ基本書「基礎からわかる民事訴訟法」

憲法おすすめ基本書「芦部憲法」

会社法おすすめ基本書「リーガルクエスト」

オススメ書籍

最新記事10選

勉強のやる気がなくなったら見て欲しい映画

オススメ書籍

PAGE TOP