刑法各論

刑法各論シリーズ 第6回 〜財産罪〜 強盗罪

財産罪の第三回目は強盗罪です。論文でもほぼほぼ出てくるテッパンだと思います。取っ付きやすいけど、意外に出来ない強盗罪。私も勉強し直したいと思います。

*説の対立をまとめたりはしていません。自分が試験で書くとしたらこれを書くだろうものを掲載しています。

236条 (強盗)

1項:暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。

2項:前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。


 

237条 (強盗予備)

強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。


 

238条 (事後強盗)

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅する為に、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。


239条 (昏睡強盗)

人を昏睡させてその財物を窃取した者は、強盗として論ずる。


 

240条 (強盗致傷罪)

強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。


241条 (強盗強姦及び同致死)

強盗が女子を強姦したときは、無期又は7年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは、死刑又は無期懲役に処する。


ステップ1

強盗罪(236条1項)

⑴保護法益:他人の財物に対する占有、生命・身体の安全

⑵構成要件:

①「暴行又は強迫を用いて」 ②「他人の財物」を ③「強取」したこと

 

①「暴行又は強迫を用いて」

「暴行・脅迫」=「相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・抑圧」があったか。

→相手方の反抗を抑圧する程度の暴行・強迫に当たるかどうかは、社会通念に従い、客観的に判断するのが判例。「行為者側」の事情、「被害者側」の事情、「行為の」状況を総合考慮する。

「暴行・脅迫を用いて」なので、手段として、暴行は、財物奪取に向けられている必要がある。奪取意思を生じた後に新たな暴行・脅迫が加えられた場合には、強盗罪が成立し得る。

→すでに反抗が抑圧されている者に対して行う暴行・脅迫であるので、通常の場合に比べて、程度の低いものであれば足り、また反抗抑圧状態を維持・継続させるもので足りる。


 

②「他人の財物」

→窃盗罪のところで、財物について書いていますので、そちらを参照してください。


 

③「強取した」

→暴行脅迫と財物奪取の間には相手の反抗を抑圧して奪取したという因果関係が必要です。


ステップ2 

強盗利得罪(236条2項)

保護法益:財産上の利益

構成要件:①「暴行・脅迫」によって  ②「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた」こと

→財産上の利益:財物以外の財産的価値のある利益のこと。

では、②ここでの「財産上の利益」は、民法上保護されない利益であっても、刑法上の保護法益足りうるか。

「簡易論証」 結論:保護法益足りうる

民法上保護されない利益が、強盗利得罪(236条2項)における「財産上の利益」にあたるか。

まず、私人間の利益調整を目的とする民法と、行為者の処罰に関して論ずる刑法とで、保護に値する利益かどうかを必ずしも統一的に論じる必要はない(違法の相対性)。

そこで、外形財産権の侵害となるような行為を処罰して社会秩序を維持する為に、民法上保護されない利益でも原則として、「財産上の利益」にあたると解する。


では、強盗利得罪が成立するには、被害者の意思に基づく処分行為が必要か?

「簡易論証」結論:処分行為は不要(不要説)

まず、強盗利得罪(236条2項)は、被害者の反抗を抑圧して利益を得るものである。とすれば、被害者は反抗抑圧状態にある以上、詐欺・恐喝のような被害者の意思に基づく処分行為は予定されていないといえる。従って、処分行為は不要である。もっとも、自由保障の見地から、利益の移転時期を限定的に解し、利得があったと言える為には、相手方からの権利行使を事実上不可能ないし著しく困難にしたといえることが必要と解する。

*補足:説の対立について

処分行為必要説は、処分行為を必要とすることによって因果関係に絞りをかけ、既遂と未遂の区別をはっきりさせようとしています。これに対して、処分行為不要説は、処分行為を不要とするものの、「財産上の利益を得た」の要件を厳格に解することによって、既遂と未遂の区別をはっきりさせようとします。結局、どのレベルで既遂と未遂の区別をはっきりさせるかの違いにすぎないと言える。どちらの説でもしっかりとあてはめが出来れば問題ないと思われる。


ステップ3

事後強盗罪(238条)

条文から、事後強盗は強盗として論ずる。

意義:窃盗犯人が犯行終了後ないし着手後に窃取の意思を放棄して犯行現場を離れる際に、しばしば暴行・脅迫を加えることがあるという刑事学的実体に着目し、人身の安全の見地からこのような行為を強盗罪と同様に処罰するというもの。

「強盗として論ずる」とは、刑およびその他の罪条の適用上すべて強盗罪として扱う、という意味である。

<事後強盗罪において暴行脅迫以降から犯行に加わった者の罪責>

簡易論証

そもそも、事後強盗罪は「窃盗」という身分を構成要件とする身分犯であり、同罪の着手時期は暴行・脅迫時であると解するべきである。したがって、この場合、共犯と身分の問題として処理すべきである。

では、事後強盗罪は真正身分犯か不真正身分犯か。この点、本罪は暴行罪・脅迫罪を基本犯とする不真正身分犯とする見解もある。しかし本罪は、財産犯であることを本質とするので、暴行罪の加重類型と解すべきでなく、むしろ、窃盗犯人でなければなしえないという意味で、真正身分犯と解すべきである。

また、65条1項の「構成すべき」、2項の「刑の軽重があるとき」との文言から、1項は真正身分犯、2項は不真正身分犯に関する規定であると解する(判例に同旨)とすると、非身分者も身分者を通じて法益侵害は可能であるから、「共犯」(65条1項)には共同正犯も含むと解するべきである(判例に同旨)

以上より、非身分者は65条1項により、事後強盗罪の共同正犯としての罪責を負うものと解する。

共犯と身分については、共犯のところでやります。少々お待ち下さい。


ステップ4

強盗致死傷罪(240条)

強盗致傷罪=240条前段 強盗致死罪=240条後段

⑴趣旨:強盗の機会に人を死傷させることが刑事学上顕著であり、強盗罪の加重類型を設けて、特に重く処罰することで、生命・身体の安全を確保しようとする点にある。

⑵構成要件:

①「強盗」が ②「人を」 ③「負傷」または「死亡」させたこと

要件 ①強盗の機会=時間的・場所的密着性があるか。

②強盗行為と、性質上、通常密接な関連性を持つ行為による死傷であること。

趣旨より、240条後段は、結果的加重犯である強盗致死の他に、故意犯である強盗殺人をも併せて規定されたものであると解する。


 

大枠は以上になりますが、また、短答知識を追記でお知らせしたいと思います。
参考文献

今回参照した基本書・問題集

刑法各論 第6版 (法律学講座双書)

 

短答肢別本〈7〉刑事系刑法〈平成24年版〉

関連記事

  1. 刑法 各論シリーズ 第15回 〜財産罪〜 遺失物横領罪 254条…
  2. 刑法各論シリーズ 第13回 〜財産罪〜 横領罪part3 業務上…
  3. 刑法各論シリーズ 第7回 〜財産罪〜 詐欺罪part1
  4. 刑法各論シリーズ 第5回  〜財産罪〜  不動産侵奪罪
  5. 刑法各論シリーズ 第16回 〜財産罪〜 背任罪 247条
  6. 刑法各論シリーズ 第4回目 〜財産に対する罪〜 窃盗罪 
  7. 刑法各論シリーズ  第12回 〜財産罪〜 横領罪part2
  8. 刑法各論シリーズ 第二回目 公衆の安全に対する罪 〜騒乱罪、放火…

カテゴリー記事一覧

おすすめ記事

  1. 資格スクエアの司法試験・予備試験講座を徹底的に検証してみた2018
  2. 民訴短答知識まとめ「除斥・忌避・回避」の違い
  3. 絶対に理解すべき終局判決と確定判決の違い「民事訴訟法」
  4. 勉強の成績が悪くても一切ヤバイと思わない人向けヤバイと思う方法(笑)
  5. 平成30年(2018年)予備試験短答式試験最新情報 解答速報情報あり。
  6. 公判前整理手続の対象事件とは(条文)
  7. 平成29年予備試験短答「憲法」の解答と肢別解説
  8. 新司法試験行政法の解説書・参考答案のおすすめ2017
  9. ブログ更新再開・・・したいの巻

刑事訴訟法おすすめ基本書 リーガルクエスト

刑法総論おすすめ基本書1 基本刑法1総論

刑法各論おすすめ基本書「刑法各論西田」

行政法おすすめ基本書「基本行政法」

民事訴訟法おすすめ基本書「基礎からわかる民事訴訟法」

憲法おすすめ基本書「芦部憲法」

会社法おすすめ基本書「リーガルクエスト」

オススメ書籍

最新記事10選

勉強のやる気がなくなったら見て欲しい映画

オススメ書籍

PAGE TOP