予備試験

平成29年予備試験短答「憲法」の解答と肢別解説

H29 予備試験 短答 憲法

「第1問」 国籍法違憲判決

ア ×

→判例は、「国籍法3条1項は、同法の基本的な原則である血統主義を基調としつつ、日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結びつきの指標となる一定の要件を設けて、これらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとしたものと解される。このような目的を達成するため準正その他の要件が設けられ、これにより本件区別が生じたのであるが、本件区別を生じさせた上記の立法目的自体には、合理的な根拠がある・・・。」としている。よって「法律婚を尊重する観点から」としているので、本肢は誤り。

イ ◯

→判例は、「立法府に与えられた裁量権を考慮しても、我が国との密接な結びつきを有する者に限り日本国籍を付与するという立法目的との合理的関連性を認められる範囲を著超える手段を採用しているというほかなく、その結果、不合理な差別を生じさせている・・・。」としている。よって正しい。

ウ ×

→「婚姻関係にない父母から出生した子について将来にわたって不合理な偏見を生じさせるおそれがある」とは判例は言っておらず、判例は、「日本国籍は、我が国の構成員としての資格であるとともに、我が国において基本的人権の保障、公的資格の付与、公的給付を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。・・・子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない重要な法的地位でもある。」と判示している。よって誤り。



「第2問」 思想・良心の自由

ア ×

三菱樹脂事件(最判昭48年12月12日)

→判例は、「企業者が雇用の自由を有し、思想、信条を理由として雇入れを拒んでも、これを目して違法とすることができない以上、企業者が、労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることも、これを法律上禁止された違反行為とすべき理由はない。」としている。よって「違法である。」としている本肢は誤り。

イ ◯

君が代ピアノ伴奏事件(最判平19年2月27日)

→判例は、「客観的に見て、入学式の国歌斉唱の際に(君が代)のピアノ伴奏をするという行為自体は、音楽専科の教諭等に取って通常想定され期待されるものであって、上記伴奏を行う教諭等が特定の思想を有するということを外部に表明する行為であると評価することは困難」としている。よって、本肢は正しい。なお、藤田裁判官の反対意見あり。「本件において問題とされるべきXの思想及び良心としては、このように君が代が果たしてきた役割に対する否定的評価という歴史観ないし世界観それ自体」もさることながら、それに加えて更に君が代の斉唱をめぐり、学校の入学式のような公的儀式の場で、公的機関が参加者にその意思に反してでも一律に行動すべく強制することに対する否定的評価といった側面が含まれている可能性があるのであり、また、後者の側面こそが本件では重要」と述べ、公的儀式における斉唱への協力を強制することが、当人の信念・信条そのものに対する直接的抑圧となることは、明白である。・・・」と述べている。

ウ ×

君が代起立斉唱事件(最判平23年5月30日)

「個人の歴史観ないし世界観に由来する行動(敬意の表明の拒否)と異なる外部的行為(敬意の表明の要素を含む行為)を求められることとなり、その限りにおいて、その者の思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面があることは否定し難い。」としているので、「何ら制約するものではない。」としている本肢は誤り。

 

「第3問」

ア ◯

最判平16年11月25日 訂正放送

判例は、放送法4条(現放送法9条)の訂正放送は、放送により権利侵害があったこと及び放送された事項が真実でないことが判明した場合に限られるのであり、また、放送事業者が同等の放送設備により相当の方法で訂正又は取消の放送をすべきものとしている。よって、公法上の義務として定めたものであり、本肢は正しい。

イ ×

レペタ事件 最判平元年3月8日

判例は、筆記行為の自由は、憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきである。・・・法廷警察権は、右の各場面において、その都度、これに即応して適切に行使されなければならないことに鑑みれば、その行使は、当該法廷の状況等を最も的確に判断し得る立場にあり、かつ、訴訟の進行に全責任を持つ裁判長の広汎な裁量に委ねられてしかるべきものというべきであるから、その行使の要否、執るべき措置についての裁判長の判断は、最大限尊重されなければならない。」としている。よって「訴訟の運営に具体的な支障が現に生じている場合でなければ許されない。」と要件を課している本肢は誤り。

ウ ◯

博多駅事件(最判昭44年11月26日)

→判例は、「報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものである。・・・事実の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条の保障のもとにある。また、このような報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する。」としている。よって本肢は正しい。

 

「第4問」

ア ×

→最判平17年4月26日

判例は「・・・米の生産者についての当然加入制はその必要性と合理性を失うに至っていたとまでは言えない」と判示し、「公共の福祉に合致する目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまる措置ということができ、立法府の政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので著しく不合理であることが明白であるとは認め難い。」とし、必要最小限度の規制であるかどうかでは判断していない。よって本肢は誤り。

 

イ ×

薬事法距離制限判決(最判昭50年4月30日)

判例は、「選択した職業の遂行自体、すなわちその職業活動の内容、態様においても原則として自由であることが要請されるのであり、したがって、右規定は、狭義における職業選択の自由のみならず、職業活動の自由の保障も包含している。」とし、22条1項において、いわゆる営業の自由も保障される。よって29条1項の規定において根拠づけられるとした本肢は誤り。

 

ウ ×

酒類販売業免許拒否処分取消請求事件 最判平4年12月15日

判例は、「租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のための職業の許可制による規制については、その必要性と合理性についての立法府の判断が、右の政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので、著しく不合理なものでない限り、これを憲法22条1項の規定に違反するものということはできない。」としているので、より緩やかな規制によっては目的を十分に達することができない場合でなければ、合憲性を肯定しえないとする本肢は誤り。

 

「第5問」

ア ◯

東京都管理職試験事件 最判平17年1月26日

→判例は「外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、本来我が国の法体系の想定するところではない。」としている。その理由としては、「公権力行使等地方公務員の職務の遂行は、住民の権利義務や法的地位の内容を定め、あるいはこれらに事実上大きな影響を及ぼす等、住民の生活に直接間接に重大な関わりを有する・・・。それゆえ国民主権の原理に基づき、国及び普通地方公共団体による統治のあり方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条、15条)に照らし、原則として日本の国籍を有するものが・・・就任することが想定されているとみるべきである」としている。よって、本肢は正しい。

 

イ ×

外国人の地方参政権 最判平7年2月28日(百選4)

→判例は、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁じられていないと解するのが相当である。」としているので、本肢は誤り。

 

ウ ◯

マクリーン事件 最判昭53年10月4日

判決は本肢の通り。

 

「第6問」 生存権

ア 最判平元年3月2日

→前半は正しいが、「何ら合理的理由のない不当な差別的取り扱いがあっても

憲法14条違反の問題は生じ得ない。」というのは明らかに誤り。

 

イ 最判平元年3月2日

→判例は「25条を現実の立法として具体化するにあたって、国の財政事情を無視することはできない」としているので、本肢は誤り。

 

ウ 判例は「生活保護の対象が永住外国人に及ぶ」とは解していないため、本肢は誤り。

 

「第7問」 憲法の意義

ア 憲法前文は、裁判規範性を有しないと解されている。よって本肢は誤り。

 

イ 形式的意味の憲法とは、「憲法」という名の成文法典を意味するため、その内容は問わない。よって人権保障の規定が含まれているかどうかは関係がないので、本肢は正しい。

 

ウ 固有の意味の憲法とは国家の統治基本を定めた法としての憲法を意味する。国家の機関、権力の組織と作用及び相互の関係を規律する規範である。

よって正しい。

 

エ 立憲的意味の憲法

立憲的意味の憲法とは、専断的な権力を制限して広く国民の権利を保障するという立憲主義に由来しており、フランス人権宣言において定められている。よって本肢は正しい。

 

「第8問」 選挙権

ア 最判平17年9月14日

判例は「憲法は、国民主権の原理に基づき、両議院の議員の選挙において投票することによって国の政治に参加することができる権利を国民に対して固有の権利として保証しており、その趣旨を確たるものとするため、国民に対して投票する機会を平等に保障しているものと解するのが相当である」としているので、本肢は誤り。

イ 政見放送削除事件 最判平2年4月17日

判例は「右規定に違反する言動がそのまま放送される利益は、法的に保護された利益とは言えず、したがって、右言動がそのまま放送されなかったとしても、不法行為法上、法的利益の侵害があったとは言えないと解すべきである。」としているので、本肢は正しい。

ウ 最判平17年9月14日

判例は「憲法の以上の趣旨に鑑みれば、自ら選挙の公正を害する行為をした者等の選挙権についての一定の制限をすることは別として、国民の選挙権又はその行使を制限することが原則として許されず、国民の選挙権又はその行使を制限するためには、そのような制限をすることがやむをえないと認められる事由がなければならない」としている。よって、本肢はそのまま判例の文言であり、本肢は正しい。

 

「第9問」 憲法9条

ア 結果として全ての戦争が禁止されることになるため、本肢は正しい。

イ 結果として自衛のための戦争も認められないため、本肢は誤り。

ウ 結果として自衛のための戦争もできるとはいえず、本肢は誤り。

 

「第10問」 内閣及び内閣総理大臣

ア 持ち回り閣議も認められているので、本肢は正しい。

イ 憲法70条の内閣総理大臣が欠けた時とは、内閣総理大臣が死亡、除名、国会議員の資格を失った時であるので、本肢は誤り。

ウ 代行命令は国会が唯一の立法機関である意義が失われるため、認められない。よって、本肢は誤り。

 

「第11問」 裁判所の違憲審査権

ア そのまま、正しい。

イ 合憲限定解釈とは、法律の解釈として、複数の解釈が可能な場合には、憲法に適合する解釈をしなければならないという準則。法律の違憲判断を回避する手法で、本肢は正しい。

ウ 法令の中の違憲適用部分が、重大な人権侵害を起こす場合等、法令全体が違憲となることは十分考えられる。よって、本肢は誤り。

 

「第12問」

ア 承認の要件とされる「過半数」は有効投票の過半数と解されているので、有識者の過半数とする本肢は誤り。

イ その通りで正しい。

ウ 憲法改正における限界は存在しなくなるので、本肢は正しい。

 

〜考察〜

以上の通り、見てみると、何度も過去に聞かれている判例からの出題が非常に多いことがわかる。憲法においても、過去問学習とともに、該当判例を読み込む勉強は、価値がありそうである。

百選に掲載されていないマイナーな判例であっても、過去問として出題されているものであり、解けない問題は1つもなかった。

ただ、それらしい判例の理由付けを変えてくるような問題は、引っかからないように注意をしたい。

超重要判例は、暗記するくらい読み込んでしまってもいいのかもしれない。

百選を読み込むのが効果的ということは、このように自分で分析してみるとよりわかると思います。

  

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